池井戸潤さんの小説の感想ブログです

池井戸潤さんの小説が好きで、よく読んでいます。その感想を書いていますので、参考にしてみていただけるとありがたいです。また、池井戸潤さんの小説に関連した本の書評もありますので、そちらもぜひご覧ください。

池井戸潤「果つる底なき」第一章「死因」の感想

池井戸潤さんの小説「果つる底なき」を読みました。

 

第一章は「死因」というタイトルになっています。

 

果つる底なきは、池井戸潤さんが「江戸川乱歩賞」を受賞した小説です。

 

ですからどんな内容なのかかなり楽しみでした。

 

ちなみに江戸川乱歩賞って、優れた推理小説に与えられるものです。

 

そんなことを考えながら小説を読んでみました。

 

果つる底なきは、井木という男性が主人公であらすじが進んでいきます。

 

いきなりタイトルが「死因」ですからヘビーですね。

 

江戸川乱歩賞を受賞する小説ですから、つかみが大切なのでしょう。

 

この小説は、井木の同僚の銀行員が亡くなるところから始まります。

 

その死因について、書かれているのがこの第一章です。

 

推理小説においては、死因は自然に亡くなったように見せかける必要があります。

 

他殺であることがばれるような死因であるはずがない。

 

第一章で使われる死因も自然に起こるものです。

 

しかし銀行員というのはこういうときに不利な職業かもしれませんね。

 

特に融資を担当している場合は、うらまれていることがある可能性大ですから。

 

融資を引き上げるような経験はきっと誰にでもあるのでしょう。

 

さてこの死因からどのような展開になるのでしょうか?

漫画「クロサギ」の中の大企業の扱い

漫画「クロサギ」の中で、大企業のことが書かれているところがあります。

 

第二巻の「買収詐欺」というところです。

 

大企業を相手にするのは、白石陽一という詐欺師。

 

過去に大企業によって、家族を壊された人物です。

 

この白石陽一は、大企業のことをとても上手に表現しています。

 

白石陽一は、腐った組織というものが嫌いです。

 

組織は、人が生きていくためには必要なもの。

 

それは彼もわかっています。

 

しかし、組織が大きくなれば、それにあわせるかのように、

個人は小さくなっていく。

 

そして個人の意思を排除し、組織の意思に従わせようとする。

 

まるで組織自体が意思を持っているかのように。

 

そうなると組織にあわない人間を排除するようになっていき、

個人は組織に簡単に踏みにじられるようになる。

 

池井戸潤さんの小説にはたくさんの腐った組織が出てきますね。

 

空飛ぶタイヤのホープ自動車は、その典型的なものです。

 

詳細はこちら

 

ホープ自動車の末路は、空飛ぶタイヤで明らかになっています。

 

また七つの会議の内容も、この腐った組織についてのあらすじです。

 

七つの会議についてはこちら

 

腐った組織を変えることができるのは、いったい誰なんでしょう?

 

白石陽一がどこにでもいるわけではありませんからね。

 

こんな企業ばかりでないことを祈るしかないのでしょうか?

池井戸潤「空飛ぶタイヤ」の第三章「温室栽培群像」の感想

池井戸潤さんの小説「空飛ぶタイヤ」を読みました。

 

第三章のタイトルは「温室栽培群像」です。

 

この章で出てきた温室栽培という言葉は、いったいどんな意味なのか?

 

かなり気になっていました。

 

この温室栽培というのは、東京ホープ自動車の社員に向けてのものです。

 

ホープという大企業の中にいるために、世間を知らないということです。

 

東京ホープの経営陣には、顧客第一という言葉はないようですね。

 

大企業にありがちな考え方のような気がします。

 

顧客第一でなくても、利益は勝手に上がる。

 

そんな考え方をしているようです。

 

東京ホープ銀行に融資をお願いするときにも、融資して当然という態度。

 

このホープ自動車の態度には、正直むかつきます。

 

この温室栽培群像が、どのように小説のあらすじに関係してくるのか?

 

きっと天罰が下る方向に進むと信じています。

 

空飛ぶタイヤ

 

↑ ↑ 

小説を購入したい方はこちらをごらんください。

 

レビューも参考にすることができます。

池井戸潤「空飛ぶタイヤ」の第二章「ホープとドリーム」の感想

池井戸潤さんの小説「空飛ぶタイヤ」を読みました。

 

第二章は「ホープとドリーム」というタイトルになっています。

 

ホープ自動車という大企業の実態がここで明らかになったように思います。

 

赤松運送への対応があまりにお粗末でないか?

 

このような対応がされるのが本当ならば、大企業というものは

責任をまったく取らないということになります。

 

企業というものは、大きくなるとそれ自体が意思を持つ。

 

そんなことを聞いたことがあります。

 

普通は企業というものは、そこで働く従業員のためのものであり、

経営者のためのものであり、株主のものであるはずです。

 

しかし、大企業になると、その企業が意思を持って、存続のために

経営者や従業員を操るようになる。

 

その結果、不幸な事故が起こったりするのでしょう。

 

リコール隠しというのも、まさにそれが原因ではないでしょうか?

 

普通の考えを持った人ならば、リコール隠しは絶対にだめということになります。

 

しかし、企業の存続のためには、リコールを隠さなければならない。

 

なぜなら、とんでもなく巨額の資金が必要になることが多いから。

 

それはあたかも企業が人に命令を出しているかのような構図です。

 

ただ、リコール隠しのようなものは、それが明るみに出ると、

ダメージはリコール隠しをした時点でのダメージの比ではありません。

 

人も企業も最終的には、しっかりと責任をとるかとらないかが重要なのですね。

 

 

空飛ぶタイヤ

 

↑ ↑ 

小説を購入したい方はこちらをごらんください。

 

レビューも参考にすることができます。

池井戸潤「空飛ぶタイヤ」の序章と第一章の感想

池井戸潤さんの小説「空飛ぶタイヤ」を読みました。

 

 

序章は「決して風化することのない、君の記憶」、

第一章は「人生最悪の日々」というタイトルになっています。

 

 序章は、数ページで終わりです。

 

しかし、この序章が本当に重要な部分になっています。

 

そして第一章は「人生最悪の日々」。

 

これほど人生最悪の日々はないというほどの内容です。

 

運送会社の赤松運送が運転するトラックのタイヤが外れ歩行者に激突、

その歩行者がなくなってしまうというところから始まります。

 

そのトラックは大手トラック会社のホープ自動車のものです。

 

赤松運送は、そして赤松徳郎は、ここから苦悩の日々が始まります。

 

 こんな状況になっても、経営者の赤松は会社を続ける必要があります。

 

会社には従業員がいますし、取引先もあります。

 

その人たちの人生を背負っているといってもよいです。

 

この小説は実際の事故がモデルになっています。

 

三菱自動車工業の大規模なリコール隠しによる一連の事件がモデルです。

 

タイヤが脱輪して歩行者に激突し、亡くなった事件が横浜でありました。

 

リコール隠しがなければ、起こらなかったかもしれない事件です。

 

この事件をモデルにして、さらに大企業の実態や銀行の実態が

明らかになっているような気がします。

 

リコール隠しを許さないためにも、このような小説は多くの方に読んでもらいたいです。

 

空飛ぶタイヤ

 

↑ ↑ 

小説を購入したい方はこちらをごらんください。

 

レビューも参考にすることができます。

池井戸潤「銀行狐」第五章「ローンカウンター」の感想

池井戸潤さんの小説「銀行狐」を読みました。

 

第五章のタイトルは「ローンカウンター」です。

 

ローンカウンターというのは、銀行でローン契約をするカウンター。

 

そして、この第五章は殺人事件から始まります。

 

さらに殺人事件は、何件も連続して起こります。

 

それがローンカウンターとどう関係があるのか?

 

少し考えたところでその関係はわかりませんね。

 

しかし、章を読みすすめていくと、その関係がわかるようになりました。

 

ローンカウンターというのは、ローンを組む場所。

 

その人の資産の状況などの情報を全て持っています。

 

でも情報ってそれだけなんじゃないのか?

 

そう思って読んでいると、実はそれだけではないようなんです。

 

ほとんどその人のことを知っているといっても良いのではないか?

 

そう思えるほどの情報をつかんでいるようです。

 

ローンを組むという場合は、メインバンクにお願いすることが多いはず。

 

メインバンクは、その顧客の口座の入出金明細など重要な情報を持っています。

 

この入出金明細だけで、かなりその人の生活状況などがわかるようです。

 

給与の金額はもちろんですが、公共料金の引き落としやクレジットカード

の引き落としなどの金額もわかります。

 

この金額で一人暮らしなのか、家族で暮らしているのかがわかります。

 

この第五章では、公共料金の話が出ていました。

 

水道料金やガス料金がほとんど基本料金しか引き落とされていない。

 

となると部屋では寝るだけという一人暮らしの可能性が高い。

 

そんな内容になっています。

 

すごいと思う反面、ちょっと怖いと思いました。

 

悪用しようと思えば悪用できてしまいます。

 

個人情報ですから、取り扱いには十分注意しているはずですが、

万が一ということもないわけではありません。

 

その万が一がこの章で起こっているのですから。

 

 

銀行狐

 

↑ ↑

小説を購入したいと言う方はこちらをご覧ください。

 

レビューも参考にできますよ。

 

池井戸潤「銀行狐」第四章「銀行狐」の感想

池井戸潤さんの小説「銀行狐」を読みました。

 

第四章のタイトルは「銀行狐」です。

 

この小説のタイトルでもありますので、この章が中心のはず。

 

でないと、銀行狐というタイトルにはならないはず。

 

となるとどんなあらすじなのか、気になる章ですよね。

 

この第四章の銀行狐の中で重要になるのは、

やはり銀行内部の出世のシステムです。

 

いつも思うのですが、銀行の出世のシステムって問題だらけだと思います。

 

どのあたりが問題なのか?

 

一番の問題なのは、やはり敗者復活が事実上不可能ということです。

 

一度出世コースから外れると、戻ることが出来ない。

 

このシステムが問題を生んでいるような気がするのです。

 

出世のシステムがあるから、問題を隠蔽しようとしたり、

部下に責任を擦り付けたりするのではないでしょうか?

 

問題隠し上手ばかりが出世していくような気がします。

 

そうなると、本当に出世すべき人が出世できなくなります。

 

しかもその問題が、キックバックを隠すようなものだったら?

 

自分のふところを満たし、さらに出世する。

 

ライバルも蹴落としてしまう。

 

目障りな部下には責任を擦り付ける。

 

そのような状態がこの「銀行狐」の中にあるのではないでしょうか?

 

ここからあらすじが始まっているような気がします。

 

銀行狐

 

↑ ↑

小説を購入したいと言う方はこちらをご覧ください。

 

レビューも参考にできますよ。