池井戸潤「果つる底なき」第二章「粉飾」の感想
池井戸潤さんの小説「果つる底なき」を読みました。
第二章は「粉飾」というタイトルになっています。
銀行を舞台にした小説には、よく粉飾が出てきます。
池井戸潤さんの小説にも、粉飾が出てくることがありますよね。
半沢直樹シリーズには粉飾が良く出てきています。
半沢直樹では、かなり高度な粉飾が行なわれているようです。
実際には融資を引き出すときに、粉飾がよく使われます。
粉飾というのは、いろんな方法があるようです。
しかし粉飾というものは、そう簡単に成功するものではありません。
銀行も粉飾を見破る方法はいくらでも知っています。
この第二章で問題になっているのは、融通手形というものです。
銀行は正規に出された手形の割引は行ないますが、融通手形は割引しません。
融通手形といのは道義的に許されるものではないからです。
そもそも融通手形とはどのようなものでしょうか?
資金繰りに苦しんでいる企業があるとしましょう。
これを仮にA社としましょう。
経営も赤字で銀行からの融資が受けられない状態のA社はどうすればよいのか?
その場合の手段の一つが融通手形です。
まず知人の企業からまったく取引をしない手形を振り出してもらいます。
この企業をB社としましょう。
A社とB社の間には実際の取引がないのですから、資金は実際には動きません。
ただ手形が振り出されただけです。
A社はB社から振り出された手形を持って銀行に行き、割り引いてもらうのです。
これでその場の資金は何とかなりました。
問題はその手形の期限が来たときです。
手形を振り出したB社は、手形決済日に手形に記載された金額を
返済する必要があります。
そのためには、融通手形を振り出したA社から、その資金を
返済してもらう必要があります。
しかしA社は、経営が苦しいのですから融通手形として振り出してもらった
手形の金額を用意することが出来ないことが多いです。
そうなるとどうなるのか?
B社からA社にまた融通手形を振り出すことになります。
融通手形を一度振り出すと、どんどん膨らんでいくことが多いのです。
最初は数百万円だった金額が、気がつくと数億円になる。
融通手形というものは、本当に恐ろしいものなんですね。
どうやら果つる底なきでは、融通手形に絡んであらすじが進んでいく
という道筋もあるようです。