池井戸潤さんの小説の感想ブログです

池井戸潤さんの小説が好きで、よく読んでいます。その感想を書いていますので、参考にしてみていただけるとありがたいです。また、池井戸潤さんの小説に関連した本の書評もありますので、そちらもぜひご覧ください。

池井戸潤「銀行狐」第三章「口座相違」の感想

池井戸潤さんの小説「銀行狐」を読みました。

 

第三章は「口座相違」というタイトルになっています。

 

この口座相違というのは、かなりやばいことになります。

 

口座相違があれば、銀行の信用はそれこそゼロになります。

 

銀行の顧客には、個人だけではなく中小企業もあります。

 

ですから膨大な口座を保管していることになります。

 

その中には、名義が似ている顧客も多くいるはずです。

 

口座には番号が当然ありますから、口座相違ということは起こらない。

 

そんなイメージがありますよね。

 

支店も違うことが多いからますますそんな可能性はないはず。

 

銀行内部の事務処理においても、そのようなことが起こらないように

しっかりと管理されているのが実際のところです。

 

特に名義が似ている場合は、注意するようになっています。

 

口座相違ということは、絶対に起こらないようになっているはず。

 

だから安心して銀行に口座を作っていますよね。

 

でもいろんな偶然が重なって、口座相違が起こってしまったら。

 

それこそ銀行内部は大変なことになります。

 

この章では、その口座相違がメインで話が進みます。

 

そして口座相違によって、まったく別の問題が発覚します。

 

こんな展開になるとは思ってもみませんでした。

 

実際の銀行でも、こういったことが起こるのでしょうか?

 

この事実を知っている場合、悪用することも可能なのでしょうか?

 

かなり気になるところです。

 

銀行狐

 

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池井戸潤「銀行狐」第二章「現金その場かぎり」の感想

池井戸潤さんの小説「銀行狐」を読みました。

 

第二章は「現金その場かぎり」というタイトルです。

 

現金その場かぎり、というのはどういうことなのでしょうか?

 

銀行ではこの「現金その場かぎり」で動いているそうです。

 

それは、お客様に現金を渡すときには、その場で過不足を確かめるということ。

 

後で銀行が過払いを主張しても、お客様がそれを否定すれば証拠がなくなります。

 

ですから、現金その場かぎりということなんです。

 

万が一でも現金の過不足があれば大変なことになります。

 

ゴミから私物から全て確認する必要があるそうですよ。

 

また、重要なのは支店長以下の出世への影響です。

 

現金の過不足というのは、銀行では大きな問題ですから、

当然出世には良い影響があるわけがありません。

 

銀行での出世は一度問題を起こすと、もう期待が出来ません。

 

池井戸潤さんの小説を読んでいるとそれは周知の事実ですよね。

 

ですから、現金その場かぎりということを現場に徹底するそうです。

 

この章では、現金その場かぎりを痛感するあらすじになっています。

 

しかし、思いがけない結末でしたね。

 

銀行狐

 

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池井戸潤「銀行狐」第一章「金庫室の死体」の感想

池井戸潤さんの小説「銀行狐」を読みました。

 

 

第一章は「金庫室の死体」というタイトルになっています。

 

文字通り金庫室の中に死体がある場面から始まります。

 

場所は銀行の金庫室です。

 

そこからいろんな人間関係が明らかになっていきます。

 

この章で重要になるのが「浮き貸し」という言葉です。

 

浮き貸しというのはどのようなものなのでしょうか?

 

その意味を調べてみました。

 

銀行で働いている人が、その地位を利用して銀行の資金

不正に自分や第三者に貸し出すことを浮き貸しと言います。

 

ちなみに銀行に限らず、金融機関にはたらいている人なら

浮き貸しは可能ですが、小説の内容から銀行員でたとえてみました。

 

浮き貸しは金融機関の信用を大きく損ないますので、

出資法で禁止されている行為です。

 

もちろん返済の可能性もかなり低くなることが多いです。

 

融資できるかどうか稟議されていないのですから、

返済の可能性が低いのも当然のことですよね。

 

そんな浮き貸しが、どのように関係しているのでしょうか?

  

銀行狐

 

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池井戸潤「仇敵」第八章「キャッシュ・スパイラル」の感想

池井戸潤さんの小説「仇敵」を読みました。

 

第八章は「キャッシュ・スパイラル」というタイトルになっています。

 

そしてこの章が、この小説の最終章になります。

 

キャッシュ・スパイラルとはどういう意味でしょうか?

 

スパイラルというのは、渦巻きのことです。

 

デフレスパイラルという言葉が一般的になっています。

 

デフレがデフレを呼ぶことをデフレスパイラルと言います。

 

となると、キャッシュ・スパイラルというのは、キャッシュがキャッシュを呼ぶ。

 

かなり嬉しい状況のように感じてしまいます。

 

しかし、章の内容はまったく違っています。

 

どうもこのスパイラルは、裏金の流れのスパイラルのようです。

 

仇敵たちの懐を潤していた資金の流れ。

 

この流れが、今度は仇敵への復讐のための手段となります。

 

このあたりはさすがに銀行員です。

 

裏金の流れを追い求めながら、仇敵を追い詰めていく。

 

裏金を創るためには、少しのミスも許されない。

 

少しでもミスをすれば、そこから裏金が明るみになる可能性がある。

 

もちろんそれを明るみにする力があるものがいなければなりませんが。

 

その力を恋窪は持っていたようです。

 

その力を恋窪は見事に使っています。

 

資金の流れを見る目は、見事と言うほかありませんね。

 

仇敵 (講談社文庫)

 

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池井戸潤「仇敵」第七章「裏金」の感想

池井戸潤さんの小説「仇敵」を読みました。

 

第七章のタイトルは「裏金」というものです。

 

裏金というのは、いうまでも正当な資金ではないです。

 

これはつまり、仇敵の資金ということです。

 

仇敵は資金をどのような方法で得ていたのか?

 

この章以降で明らかになっていきます。

 

裏金作りというのは、いろんな企業などで行なわれていると聞きます。

 

不正な会計処理などで資金をプールしているようです。

 

どのような目的で裏金を作っているのかはわかりませんが、

数え切れないほどの企業が着手しているのではないでしょうか?

 

裏金というものは、許されるものではありませんが、

それが明るみに出てくるということはほぼありません。

 

今まで裏金が明らかになったのは、内部告発のようなものがほとんどのようです。

 

外部からはなかなか裏金の事実を知ることが出来ないようです。

 

しかし、明らかになるのは、ほんの少しのミスからということもあります。

 

さて、この章ではどのようにして裏金が表に出てくるのでしょうか?

 

仇敵 (講談社文庫)

 

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池井戸潤「仇敵」第六章「逆転」の感想

池井戸潤さんの小説「仇敵」を読みました。

 

第六章は「逆転」というタイトルになっています。

 

恋窪と仇敵との争いも、かなり佳境に入ってきたように思います。

 

仇敵との戦いは、どうやら資金の流れがポイントになりそうです。

 

やはりどんな悪事にも、資金の流れがあるものです。

 

その流れは、当然わからないようにカモフラージュされています。

 

そのため、流れはなかなか見つからないものです。

 

資金の流れというのは、よく血液の流れにたとえられます。

 

血液の流れがよければ健康の証ですよね。

 

逆に血流が悪ければ健康ではない。

 

企業の資金の流れにも同じことが言えます。

 

資金の流れが滞りなく行なわれていれば、その企業は健康、

つまり利益を出しているということになります。

 

逆に資金の流れが悪い企業は、倒産の危機があるのかもしれません。

 

悪事をたくらむ組織にも、それは同じです。

 

であればその資金の流れをつかんで、流れを断ってしまえば、

その組織は維持できなくなるはずです。

 

資金の流れさえつかんでしまえば、いろんなことができる恋窪。

 

流れはつかめたのでしょうか?

 

タイトルにある逆転には、資金の流れがとても重要です。

 

仇敵 (講談社文庫)

 

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池井戸潤「仇敵」第五章「密計」の感想

池井戸潤さんの小説「仇敵」を読みました。

 

第五章は「密計」というタイトルになっています。

 

密計というのは、密かに張り巡らせる策略のこと。

 

ここで密計を張り巡らせるのは、恋窪ではありません。

 

仇敵である中島容山が密計を練っています。

 

金融を巡っての密計というのはどのようなものなのでしょう。

 

恋窪は銀行員ですから、融資をめぐってのことになります。

 

思うに融資で密計となると、考えられるのは粉飾でしょうか。

 

粉飾というのは、企業の業績をよく見せるためのもの。

 

粉飾には当然粉飾決算が必要になります。

 

その粉飾決算は実際とは異なる決算書類を作成することです。

 

粉飾決算の多くは、売上高や利益が実際よりも多くなるように

見せかけるために作成されるものです。

 

なぜ粉飾決算を行なうのかというと、銀行から融資を引っ張るため。

 

銀行は、倒産確定のような企業には融資しません。

 

融資しても元本も利息もきっちりと返してくれる企業に貸します。

 

その企業を見分ける重要なものが、企業の決算書類です。

 

利益に対して売掛金が大きすぎないか?

 

在庫を抱えすぎていないか?

 

もちろん短期の借入などがないかなどもチェックします。

 

そうして融資しても問題ない、となった企業に融資されます。

 

しかし、融資して欲しいのは、もうつぶれそうな企業ですよね。

 

しかも今すぐに資金が欲しい。

 

そのために、会計を良好に見せて融資を引っ張ります。

 

当然犯罪ですが、切羽詰った経営者は冷静な判断が出来ないことがあります。

 

粉飾は犯罪とわかっていても、行なってしまうのです。

 

とはいっても粉飾というのは簡単に見破られます。

 

粉飾を行なうためには、会計士などの協力者を作ったりする必要があるようです。

 

ですから簡単に出来ることではありません。

 

中島容山は、そんな難しい粉飾を行なって恋窪にダメージを与えようとしてます。

 

この章を読んでみると粉飾というのは、割に合わないかも知れないと思います。

 

仇敵 (講談社文庫)

 

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