池井戸潤「仇敵」第八章「キャッシュ・スパイラル」の感想
池井戸潤さんの小説「仇敵」を読みました。
第八章は「キャッシュ・スパイラル」というタイトルになっています。
そしてこの章が、この小説の最終章になります。
キャッシュ・スパイラルとはどういう意味でしょうか?
スパイラルというのは、渦巻きのことです。
デフレスパイラルという言葉が一般的になっています。
デフレがデフレを呼ぶことをデフレスパイラルと言います。
となると、キャッシュ・スパイラルというのは、キャッシュがキャッシュを呼ぶ。
かなり嬉しい状況のように感じてしまいます。
しかし、章の内容はまったく違っています。
どうもこのスパイラルは、裏金の流れのスパイラルのようです。
仇敵たちの懐を潤していた資金の流れ。
この流れが、今度は仇敵への復讐のための手段となります。
このあたりはさすがに銀行員です。
裏金の流れを追い求めながら、仇敵を追い詰めていく。
裏金を創るためには、少しのミスも許されない。
少しでもミスをすれば、そこから裏金が明るみになる可能性がある。
もちろんそれを明るみにする力があるものがいなければなりませんが。
その力を恋窪は持っていたようです。
その力を恋窪は見事に使っています。
資金の流れを見る目は、見事と言うほかありませんね。
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小説が読みたいという方はこちらを参考にしてください。
レビューなども参考になりますよ。