池井戸潤さんの小説の感想ブログです

池井戸潤さんの小説が好きで、よく読んでいます。その感想を書いていますので、参考にしてみていただけるとありがたいです。また、池井戸潤さんの小説に関連した本の書評もありますので、そちらもぜひご覧ください。

池井戸潤「仇敵」第五章「密計」の感想

池井戸潤さんの小説「仇敵」を読みました。

 

第五章は「密計」というタイトルになっています。

 

密計というのは、密かに張り巡らせる策略のこと。

 

ここで密計を張り巡らせるのは、恋窪ではありません。

 

仇敵である中島容山が密計を練っています。

 

金融を巡っての密計というのはどのようなものなのでしょう。

 

恋窪は銀行員ですから、融資をめぐってのことになります。

 

思うに融資で密計となると、考えられるのは粉飾でしょうか。

 

粉飾というのは、企業の業績をよく見せるためのもの。

 

粉飾には当然粉飾決算が必要になります。

 

その粉飾決算は実際とは異なる決算書類を作成することです。

 

粉飾決算の多くは、売上高や利益が実際よりも多くなるように

見せかけるために作成されるものです。

 

なぜ粉飾決算を行なうのかというと、銀行から融資を引っ張るため。

 

銀行は、倒産確定のような企業には融資しません。

 

融資しても元本も利息もきっちりと返してくれる企業に貸します。

 

その企業を見分ける重要なものが、企業の決算書類です。

 

利益に対して売掛金が大きすぎないか?

 

在庫を抱えすぎていないか?

 

もちろん短期の借入などがないかなどもチェックします。

 

そうして融資しても問題ない、となった企業に融資されます。

 

しかし、融資して欲しいのは、もうつぶれそうな企業ですよね。

 

しかも今すぐに資金が欲しい。

 

そのために、会計を良好に見せて融資を引っ張ります。

 

当然犯罪ですが、切羽詰った経営者は冷静な判断が出来ないことがあります。

 

粉飾は犯罪とわかっていても、行なってしまうのです。

 

とはいっても粉飾というのは簡単に見破られます。

 

粉飾を行なうためには、会計士などの協力者を作ったりする必要があるようです。

 

ですから簡単に出来ることではありません。

 

中島容山は、そんな難しい粉飾を行なって恋窪にダメージを与えようとしてます。

 

この章を読んでみると粉飾というのは、割に合わないかも知れないと思います。

 

仇敵 (講談社文庫)

 

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小説が読みたいという方はこちらを参考にしてください。

 

レビューなども参考になりますよ。