池井戸潤「オレたち花のバブル組」第六章「モアイの見た花」の感想
池井戸潤さんの小説「オレたち花のバブル組」を読みました。
第六章のタイトルは「モアイの見た花」です。
タイトルだけを見ると何のことだかわかりません。
でも、この第六章はかなり重要なところです。
金融庁に見られてはまずい書類、それを黒崎が探しているのです。
銀行では疎開文書と言われているようです。
見つからないように別の場所に疎開させるという意味です。
黒崎が目をつけたのは、半沢直樹の自宅。
その自宅を捜索しようとするのです。
モアイが見た花というのは、半沢直樹の妻である花のことなんですね。
半沢の自宅にモアイのような顔をした金融庁検査官数人が訪れます。
そこで書類を捜索することになります。
金融庁の検査というのは、捜索した後はそのままにするようです。
なんと片付けをしないのですね。
一般的な常識では考えられないですが、それがお役人の常識なのでしょうか?
そんなお役人の常識など、花はまったく受け入ることが出来ません。
モアイ面の検査官に迫ります。
花の気持ちは、一般人なら当然理解できるところですね。
ちなみに、半沢直樹が疎開させている文書、これは銀行法違反のようです。
検査忌避というそうです。
金融庁の立ち入り検査の際に資料を隠したり虚偽内容を記載した帳簿などを
作成したりして検査を妨害する行為のことです。
半沢直樹の行為は検査忌避に当然該当します。
実際の話ですが2004年には、当時のUFJ銀行と元役員らが告発されています。
その結果元副頭取らが逮捕、起訴され、有罪判決を受けたようです。
これを見ると、黒崎が必ずしも悪というわけではないのかもしれません。
そう考えると小説を違った側面で読むこともできるのですね。
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レビューなども参考になりますよ。