池井戸潤「シャイロックの子供たち」第八話「下町蜃気楼」の感想
一つ一つの章が独立しているように思いましたが、
実はすべてがつながっているということがわかります。
この第八話「下町蜃気楼」もつながりのひとつです。
下町蜃気楼では、支店で行なわれていた大きな不正が明らかになります。
支店のエースであった銀行員の不正が明らかになるのです。
不正というのはどうしてもばれてしまうものですね。
特に銀行のような場所では絶対に不正があってはいけないはず。
融資一つで企業やその従業員の運命を左右することもあるのですから。
しかしそんなきれいごとでは、銀行は出来ていないようです。
儲けて何ぼのビジネスで銀行は動いています。
融資先の運命なんて同でもよい、ただ利益を出すことができればよい。
特に池井戸潤さんの小説を読んでそんな印象が強くなりました。
正しくあろうとする銀行員もいるのだと思います。
しかし、銀行という大きな組織に入ってしまうと、
そんな理想論なんてどこかに飛んでいってしまうかのようです。
銀行から課されたノルマの達成が第一優先になってしまうと、
もうそんな理想なんてどこかにいってしまうのでしょう。
ノルマノルマの毎日。
そんな銀行の負の一面が、この第八話には現れているように思います。
もう少しきれいごとが通じる世界であってほしいものですね。
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シャイロックの子供たちを読みたい方はこちらを参考にしてください。