池井戸潤「銀翼のイカロス」終章「信用の砦」の書評
いよいよ銀翼のイカロスも終章になりました。
タイトルは「信用の砦」です。
信用というのは、銀行の商売道具ですよね。
信用があるから貨幣経済が成立しているのですから、
その貨幣を使ったビジネスをしている銀行にとっての商売道具です。
信用の砦というタイトルは、銀行の信用についてのことなのでしょう。
銀行というのは、池井戸潤さんの小説を読んでいると一つの体質が見えます。
それは「隠蔽」という体質です。
都合の悪いことは隠蔽してしまうという体質。
これは実際の銀行でも変わらないことなのでしょうね。
しかし、半沢直樹はどうもこの考えではないようです。
目先の不祥事などを隠蔽して信用を守ろうとしても無駄。
それよりも不祥事を明らかにしてしっかりと対応していく。
これでこそ銀行の信用を守ることができると考えている。
世界一の投資家、ウォーレン・バフェットの伝記を以前よみました。
そこで、ソロモンブラザーズが不祥事を起こしたときのことが書かれていました。
不祥事を起こしたソロモンに、バフェットは会長として就任します。
バフェットが最初に行なったことは、不祥事を隠すのではありませんでした。
全てを明らかにすることから始めました。
ソロモンブラザーズの信用を取り戻すためには、
すべてを明らかにする必要があったのです。
半沢直樹もおなじような行動をしていますね。
だからこそ半沢直樹は全うな銀行員なのでしょう。
終章では東京中央銀行と政治と絡んだ不祥事が明らかになります。
これで東京中央銀行の信用は回復したのでしょうか?
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