池井戸潤「オレたちバブル入行組」第四章「非護送船団」の感想
池井戸潤さんの小説「オレたちバブル入行組」を読みました。
第四章は「非護送船団」というタイトルです。
護送船団方式という言葉を聞いたことがあると思います。
第四章の中に、護送船団方式の説明が少しあります。
章のタイトルの中にも護送船団という言葉がありますので、
少し詳しく見ておきたいと思います。
護送船団方式というのは、元々は軍隊用語のようですね。
軍事戦術として用いられた「護送船団」がその由来なんです。
船団の中で最も速度の遅い船に速度を合わせて、
全体が統制を確保しつつ進んでいくというものです。
この護送船団というものが金融にも組み入れられたのです。
破綻しそうな銀行もお上の助けで破綻しない。
破綻しそうな銀行というのは一番遅い船と同じ。
そこにあわせて進んでいこうということです。
そうすることで預金者や中小企業の不安をあおることを防いだのです。
しかしそれもバブル崩壊まで。
それ以降は、銀行であっても赤字になればつぶれるようになりました。
あまりに巨額の不良債権でかばいきれなくなったのです。
それによって、銀行は裕福な人にはお金を貸し、
貧しい人にはお金を貸さなくなってしまったのです。
銀行も儲からなくなればつぶれてしまう普通の企業になっています。
それがこの章のタイトルになっている非護送船団ということなのでしょう。
銀行とは、晴天に傘を差し出して、雨天に取り上げるといわれますね。
また融資の要訣は回収にあり、とも言われます。
利益を上げることが必須になった銀行の今の姿はこの言葉にあらわれています。
ですから、半沢直樹は融資した5億円の回収を急いでいるのですね。
資金の流れを追いながら、かなり東田を追い詰めているようです。
そしてさらにもう一人重要人物が出てきています。
いよいよクライマックスも近いようです。
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レビューなども参考になりますよ。