池井戸潤さんの小説の感想ブログです

池井戸潤さんの小説が好きで、よく読んでいます。その感想を書いていますので、参考にしてみていただけるとありがたいです。また、池井戸潤さんの小説に関連した本の書評もありますので、そちらもぜひご覧ください。

池井戸潤「鉄の骨」第一章「談合課」の感想

池井戸潤さんの小説「鉄の骨」を読みました。

 

第一章は「談合課」というタイトルになっています。

 

主人公は富山平太という男性。

 

中堅ゼネコンの一松組に勤めています。

 

建設現場に働いている富山平太は、業務課へ異動になります。

 

この業務課は、通称談合課と呼ばれる課になります。

 

談合というのは、世論では悪のイメージがありますね。

 

私も談合というのは良いイメージがありません。

 

談合というものは違法なものですから、そのイメージが当然です。

 

ところでそもそもなぜ違法なのでしょうか?

 

違法の理由も知らないで悪と決め付けるのも良くないかもしれません。

 

違法という時点でそれを知る必要もないのかもしれませんが、

知っていて損することはないでしょう。

 

そこで少し調べてみました。

 

自由競争の原理に反するから、というのが理由になります。

 

価格というのは自由に決めるものです。

 

しかし談合となると、最初から入札価格が決まってしまう。

 

自由競争ではなくなってしまいますね。

 

ですから禁止されるというのが理由なんです。

 

すごく簡単な理由で、誰にでもわかるものです。

 

しかし、談合というものはなくなる気配はありません。

 

なぜなのでしょうか?

 

その理由は、この鉄の骨という小説の中にありました。

 

 

池井戸潤「果つる底なき」第五章「回収」の感想

池井戸潤さんの小説「果つる底なき」を読みました。

 

第五章は「回収」というタイトルになっています。

 

そして、この第五章が最終章です。

 

回収とは、銀行の場合は融資した資金を返してもらうことです。

 

その回収がテーマのこの章は、果つる底なきの重要なものです。

 

この章で全てが明らかになりました。

 

全ての資金の流れが明らかになっています。

 

そして、なぜそのような資金の流れになっているのか?

 

なぜそのような事件がおきてしまったのか?

 

なぜその人物が関係しているのか?

 

本当にすべてがすっきりとしたという印象です。

 

この小説のポイントの一つは、やはり融通手形という言葉ではないでしょうか?

 

違法ではないようですが、道義的に許されるものではありません。

 

そういったところから、全てが崩れてしまうものです。

 

健全ではない資金の流れは、全てを間違った方向に流してしまうのでしょう。

 

この果つる底なきで重要なのは、そこなのではないでしょうか?

池井戸潤「果つる底なき」第四章「半導体」の感想

池井戸潤さんの小説「果つる底なき」を読みました。

 

第四章は「半導体」というタイトルになっています。

 

融通手形の資金の流れを追うことによって、かなり事件の全貌が見えています。

 

やはり資金の流れというものは、いろんなことが絡んでいるのですね。

 

半導体も、この資金の流れに関係しています。

 

資金の流れというのは、やはりそのお金が健全に使われるかどうかが重要です。

 

不正に資金の流れを作ると、どうしても不自然な部分が出てくる。

 

この不自然な部分というのは、隠せない場合が多いようです。

 

資金の流れを追うことができる人は、いずれ気づいてしまうのです。

 

不正はできないということでしょうか?

池井戸潤「果つる底なき」第三章「依頼書」の感想

池井戸潤さんの小説「果つる底なき」を読みました。

 

第三章は「依頼書」というタイトルになっています。

 

銀行に依頼するときには、どんなものにも依頼書が必要です。

 

いろんな依頼書が、銀行の窓口にはおいてありますよね。

 

公共料金を銀行口座から引き落とすにも依頼書が必要です。

 

たくさんの依頼書があるので記入するのが正直面倒くさいという気持ちもあります。

 

しかしながらいろんな意味で依頼書は重要な書類には違いありません。

 

振込などの証拠にもなる書類ですから。

 

そう、この第三章では、振込依頼書がポイントになります。

 

銀行員というのは、やはりこういったときにすごいですよね。

 

依頼書を探して資金の流れを追うことができる。

 

それでかなりの情報を知ることができるのですから。

 

振込依頼書を見るとその企業のかなりのことがわかるようになります。

 

資金の流れは、血液の流れにたとえられることがあります。

 

これで企業の健康状態をしることができるわけです。

 

さらに、資金の流れは関係者を浮き彫りにしていきます。

 

資金の流れを複雑にすることで、当事者がわからないようにするのですが、

やはりどうしても限界があります。

 

その限界を探って事件の真相に迫ろうとしているわけですね。

池井戸潤「果つる底なき」第二章「粉飾」の感想

池井戸潤さんの小説「果つる底なき」を読みました。

 

第二章は「粉飾」というタイトルになっています。

 

銀行を舞台にした小説には、よく粉飾が出てきます。

 

池井戸潤さんの小説にも、粉飾が出てくることがありますよね。

 

半沢直樹シリーズには粉飾が良く出てきています。

 

オレたち花のバブル組

 

オレたちバブル入行組

 

半沢直樹では、かなり高度な粉飾が行なわれているようです。

 

実際には融資を引き出すときに、粉飾がよく使われます。

 

粉飾というのは、いろんな方法があるようです。

 

しかし粉飾というものは、そう簡単に成功するものではありません。

 

銀行も粉飾を見破る方法はいくらでも知っています。

 

この第二章で問題になっているのは、融通手形というものです。

 

銀行は正規に出された手形の割引は行ないますが、融通手形は割引しません。

 

融通手形といのは道義的に許されるものではないからです。

 

そもそも融通手形とはどのようなものでしょうか?

 

資金繰りに苦しんでいる企業があるとしましょう。

 

これを仮にA社としましょう。

 

経営も赤字で銀行からの融資が受けられない状態のA社はどうすればよいのか?

 

その場合の手段の一つが融通手形です。

 

まず知人の企業からまったく取引をしない手形を振り出してもらいます。

 

この企業をB社としましょう。

 

A社とB社の間には実際の取引がないのですから、資金は実際には動きません。

 

ただ手形が振り出されただけです。

 

A社はB社から振り出された手形を持って銀行に行き、割り引いてもらうのです。

 

これでその場の資金は何とかなりました。

 

問題はその手形の期限が来たときです。

 

手形を振り出したB社は、手形決済日に手形に記載された金額を

返済する必要があります。

 

そのためには、融通手形を振り出したA社から、その資金

返済してもらう必要があります。

 

しかしA社は、経営が苦しいのですから融通手形として振り出してもらった

手形の金額を用意することが出来ないことが多いです。

 

そうなるとどうなるのか?

 

B社からA社にまた融通手形を振り出すことになります。

 

融通手形を一度振り出すと、どんどん膨らんでいくことが多いのです。

 

最初は数百万円だった金額が、気がつくと数億円になる。

 

融通手形というものは、本当に恐ろしいものなんですね。

 

どうやら果つる底なきでは、融通手形に絡んであらすじが進んでいく

という道筋もあるようです。

池井戸潤「空飛ぶタイヤ」第五章「刑罰系迷門企業」の感想

池井戸潤さんの小説「空飛ぶタイヤ」を読みました。

 

第五章は「刑罰系迷門企業」というタイトルになっています。

 

名門が迷門ですから、どういう意味がわかりそうですね。

 

ホープ自動車は、どうも腐りきった企業になっています。

 

読んでいて腹が立ってしまうほどに腐っています。

 

企業が腐っていると、その内部の人も腐ってしまうのでしょうか?

 

腐ってしまう人もいれば、腐らない人もいる。

 

でも、腐らない人というのは圧倒的に少数のような気がしますね。

 

その人たちが動かなければ、企業は腐ったまま。

 

それがこの章ではっきりとわかりました。

 

腐った企業というのは、それ自身の存続のために、内部の人間を腐らせる。

 

なぜなら、腐っていない人がいれば、腐った企業は存続できないから。

 

こうなってくると、企業に人が支配されている状態ですね。

 

企業が浄化されるのは、かなり難しいような気がします。

 

ポイントになるのは、やはり少数の腐っていない人です。

 

この少人数がどう行動するかで、腐敗を止めて浄化できるかが決まります。

 

たとえば内部告発

 

実際の企業の問題が発覚するのは、ほとんど内部告発のようですね。

 

しかし、言葉にすると簡単に思いますが、実際には難しいですよね。

 

腐っているほうが、出世できたり、給料も高かったり。

 

その難しい状況の中でも、浄化のために活動する人が出てくる。

 

それはその企業が末期のときかもしれません。

 

ホープ自動車は、まさにそのときではないでしょうか?

 

空飛ぶタイヤ

 

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池井戸潤「空飛ぶタイヤ」第四章「ハブ返せ!」の感想

池井戸潤さんの小説「空飛ぶタイヤ」を読みました。

 

第四章のタイトルは「ハブ返せ!」です。

 

赤松運送では、自社で壊れた部品を検証するために、

ホープ自動車に部品の返却を求める場面になります。

 

タイヤが外れた原因を検証するためにハブを返せということです。

 

しかし、ホープ自動車はいろんな理由をつけて返しません。

 

自動車の部品の所有権というのは、当然自動車の持ち主である

赤松運送にあるはずです。

 

どうして返さないのか?

 

当然返すとまずい理由があるからに決まっています。

 

この場合はどのようにするのが一番良いのでしょうか?

 

小説を読むときには、やはり主人公の気持ちになってしまいます。

 

この場合なら、赤松徳郎になっている気持ちです。

 

赤松運送を何とか持ちこたえさせるために何をするべきか?

 

そこを考えながら読んでいくのですが、

私も事故の原因となった部品を自分で再調査したいとおもいました。

 

しかし、ホープ自動車は絶対に返却しないでしょう。

 

なぜなら、再調査されるとまずいからです。

 

ですから、再調査をにおわさないようにして

返却してもらうのが良いのかもしれません。

 

しかし、どう考えてもそんな方法が思い浮かびません。

 

弁護士に相談して何とかすることしか思い浮かびませんね。

 

弁護士の名前を借りて、訴訟をにおわせる。

 

そんなことしか思い浮かばないのが残念です。

 

ほかにどんな方法があるのでしょうか?

 

空飛ぶタイヤ

 

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